家なき子特例と保有継続要件 1

本日は、名古屋在住の方で実家を受け継いだ方から質問を受けた経験をブログに残しておこうと思います。

その質問とは、相続税の計算の際に、申告期限までに実家を取り壊して賃貸物件を立てた場合でも、家なき子特例(小規模宅地等の特例)の適用を受けることができるか、という内容でした。

まず、前提として、相続税の計算において、実家(被相続人が相続開始に住んでいた建物)敷地について、その評価額を80%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

なお、減額割合や条件は異なりますが、事業をしている土地にもこの特例を適用できる場合もありますが、ここでは割愛します。

相続人の方の生活基盤となり得る居住用の宅地の評価額が高い場合、それらに対して形式的に計算して相続税が課税されると、相続税が払えず、その生活基盤の土地を売却しないといけなくなる、そうではない場合でも納税資金で預金のほとんどがなくなり、今後事実上生活していけなくなる可能性もあるので、一定の要件を満たしたときは、それらの評価額を減額して相続税を計算することができるようになっていると思われます。

ちなみに、同居親族が亡くなった方と一緒に住んでいたご自宅の敷地を相続で取得した場合、その敷地について特定居住用宅地等として特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限まで、保有継続要件と居住継続要件、を満たす必要があります。 つまり、申告期限までその自宅敷地をずっと売却せず保有し続ける(保有継続の要件)、引っ越さずにそこに住み続ける(居住継続の要件)、ということが必要になります。

質問を受けたのは、亡くなった方と一緒に住んでいないパターンでした。

いわゆる、家なき子特例と言われるパターンです。(次月に続きます。)