相続税と団信

相続税申告の際には、すべての財産と債務を申告書に記載する必要があります。
それでは、相続開始時点で被相続人に住宅ローンが残っている場合、また、団信でその住宅ローンが返済済みになった場合は、どのように相続税申告書を作成すべきでしょうか。
 名古屋にお住まいの方から上記の質問を最近受けたので、備忘録もかねてブログにします。

相続税申告書には、相続開始時点でのプラスの財産もマイナスの財産もすべて記載して、相続税の計算をする必要があります。
 そのため、相続開始時点で被相続人に住宅ローンが残っている場合には、その残高を申告書に記載し、課税される相続財産の価額を計算することになります。

団信でその住宅ローンが返済済みになった場合には、団信により支払われた生命保険金の金額を記載するのではないかと考える方や生命保険の非課税枠が使えるのではないかと考える方もいらっしゃいます。
しかし、団信により支払われた生命保険金は、住宅ローンの借入先金融機関に直接支払われることになり、相続人に支払われるわけではないので、生命保険の非課税枠の適用を受けることができるわけではありません。
それどころか、相続人に支払われるわけではないので、相続税申告書に記載する必要すらありません。
相続開始時点で、住宅ローンを消滅させたと考え、団信により支払われた生命保険金を相続税申告書に記載せず、住宅ローンをマイナスの財産として記載しないというのが、正しい方法となります。