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保険契約の名義変更と相続税対策(生存給付金型保険の落とし穴)
生命保険は相続対策として活用されることが多いのですが、契約者の名義変更をすれば相続税がかからないと誤解されているケースがあります。
今回は、生存給付金が支払われるタイプの生命保険に加入された名古屋にお住まいの方から相談をうけた事例をもとに、相続税・贈与税の取扱いをご紹介します。(多少事実関係は、説明しやすいように改変をしています。)
事例
父Aは令和元年に、次の内容で生命保険に加入しました。
契約者:A
被保険者:長男B
死亡保険金受取人:A
生存給付金受取人:B
保険料:500万円を一括払い
この保険は、5年ごとに50万円の生存給付金が支払われ、その分だけ死亡保険金が減額される仕組みです。
その後、
令和5年 契約者をAからBへ名義変更(解約返戻金相当額500万円)
令和6年 Bが生存給付金50万円を受領
令和7年 Aが死亡(この時点の解約返戻金相当額450万円)
という経過をたどりました。
結論から言えば、令和5年に契約者名義をAからBへ変更しただけでは、保険契約に関する権利がAからBへ移転したことにはなりません。
今回亡くなったのはAですが、保険事故となるのは被保険者であるBの死亡です。そのため、Aの死亡によって死亡保険金が支払われるわけではありません。
一方で、保険料を実際に負担したのはAです。
相続税法第3条第1項第3号では、このようなケースについて、被相続人以外が契約者となっている生命保険であっても、被相続人が負担した保険料に対応する生命保険契約に関する権利は相続税の対象になると定めています。
したがって、本件ではAの相続開始時における保険契約の評価額である450万円が、相続税の課税価格に加算されます。
さらに見落としがちなのは、生存給付金は贈与の対象になるということです。
令和6年にBが受け取った50万円の生存給付金は、死亡や病気などの保険事故によるものではなく、一定期間生存していたことにより支払われる給付金です。
相続税法第5条第1項では、このような給付金については、保険料を負担した人から受取人への贈与があったものとみなすこととされています。
そのため、本件では、保険料負担者であるAからBへ50万円の贈与があったものとして取り扱われますので、生前贈与加算の対象となり、相続税の計算に影響を与える可能性があります。
このように、生命保険は相続対策として有効な商品も多くありますが、契約形態や名義変更の方法によっては、当初想定していた節税効果が得られないことも少なくありません。
保険会社や金融機関の説明だけで判断するのではなく、契約前や名義変更前に税理士へ相談することで、思わぬ課税を防ぐことができます。