弁護士法人心 本部に所属しております,弁護士の内堀と申します。
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相続時精算課税制度と養子縁組の解消
相続時精算課税制度とは、60歳以上の直系尊属(父母、祖父母など)から、18歳以上の直系卑属(子、孫など)に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類(戸籍等)を添付した相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。
この制度を受けることにより、2500万円まで贈与が非課税となり、相続の際に相続財産に加算して相続税を計算し、相続税が発生する場合には納税が必要となります。
贈与税を納めたくないが、財産の前渡しをしたいときに重宝される制度と言えます。
そして、養子も法律上直系卑属であり、養親から贈与があれば、基本的に相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
ただし、養子縁組は、いつでも双方の合意があれば、養子養親関係を解消できます。
そのため、養子縁組の状態が、贈与の時期にあればいいのか、申告の時期にあればいいのか、という疑問が出てきます。
また、養子縁組解消後の贈与は相続時精算課税制度の適用を受けるのか、という疑問も出てきます。
結論としては、贈与の時期に養子縁組の関係があれば、相続時精算課税制度の適用を受けることができ、また、養子縁組解消後の贈与も相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
また、贈与時点の状況が重要となるため、提出する戸籍は、贈与後に作成された戸籍を提出する必要があります。
贈与関係は、いろいろな制度の中から適切なものを状況によって取捨選択する必要があるので、税理士に相談することをおすすめします。