遺留分と不動産

名古屋も少しずつ暖かくなり,桜のきれいな季節となってきました。

弁護士の内堀です。

 

今回は,不動産と遺留分について,書いてみたいと思います。

 

相続財産が不動産しか無い時,絶対に不動産自体をもらいたいと主張する遺留分権利者もいますし,絶対に金銭をもらいたいと主張する遺留分権利者もいます。

 

法律上はどうなっているのでしょうか。

 

一般論として,日本の民法では,物の遺留分は,原則として,金銭ではなく,共有持分をもって清算されることになっています。

そのため,相続財産について,不動産しかない場合は,共有持分につき,不動産の移転登記請求権を請求できるにとどまり,遺留分権利者が,不動産の共有持分に相当する金銭を請求することはできません。

 

他方,遺留分を請求されている側(以後,受遺者といいます。)は,遺留分権利者と当該不動産を共有したくないと考えれば,遺留分権利者に対し,金銭で遺留分を支払う旨意思を表明し,遺留分に応じた金銭を支払うことで,移転登記請求を免れることができます。

 

以上をまとめると,相続財産が不動産しかない場合,遺留分権利者は原則として,不動産の持分について移転登記を請求することしかができないのですが,受遺者が,金銭で賠償したいと反論した場合にのみ,遺留分を現金でもらうことができます。