9月に入っても名古屋はまだまだ暑いです。
最近、信託契約の対象となっている不動産について空き家特例が使えるのかどうかの質問を受けました。
結論として、信託契約をした不動産は空き家特例の対象となりません。
まず、空き家特例は租税特別措置法第35条第3項を根拠としています。
租税特別措置法第35条第3項には、「相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第5項までにおいて同じ。)による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。以下この項において同じ。)が、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に、次に掲げる譲渡(当該相続の開始があつた日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとし、第39条の規定の適用を受けるもの及びその譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く。以下この条において「対象譲渡」という。)をした場合(当該相続人が既に当該相続又は遺贈に係る当該被相続人居住用家屋又は当該被相続人居住用家屋の敷地等の対象譲渡についてこの項の規定の適用を受けている場合を除く。)には、第1項に規定する居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、同項の規定を適用する。」と記載されています。
つまり、空き家特例は、不動産を「相続又は遺贈により取得した」個人を対象としており、信託による不動産の取得はその規定に含まれていないのです。
また、信託による不動産の取得を相続又は遺贈により取得したものとみなす、といったような規定もありません。
そのため、信託契約が相続で終了し、帰属権利者が不動産を取得した場合でも、この条文上の形式的な要件を満たさないため、適用はできません。