税務署と保険会社

まだ、5月ですが、最近の名古屋は真夏のように暑くなってきました。

本日は、税務署がどのように相続財産を把握して、財産の計上漏れを指摘するのか、ということについて、説明をしていきます。

 例えば、契約者が被相続人で、被保険者が相続人の生命保険がある場合は、この保険契約に関する権利が相続財産に当たります。しかし、被相続人が死亡したことにより保険金が発生するわけではなく、契約者の名義変更が行われるだけなので、どうやってこの財産を税務署が見つけるのか、と疑問に思われる方もいらっしゃいます。

 この疑問に対する回答は簡単です。

 保険会社が名義変更をしたことについて、税務署に報告をするからです。

 相続税法59条2項では、そこのことについて規定がされています。

 知らない方もいらっしゃいますが、このような法律がある以上、保険について隠すことは不可能です。

実際には、隠すつもりはなく、単に契約者の名義変更しただけでお金をもらったわけではないので、相続財産であると思っていなかったというパターンが多いと思われます。

 ただ、知らなかったで済まされないのが税法の世界です。

 税務調査において、税務署から指摘を受けて修正申告をすれば、本来払うべき税金に加え、過少申告加算税や延滞税が発生する可能性が高いです。

 何に相続税がかかってくるのかよくわからない、不安だという方は税理士に相談することをおすすめします。

(調書の提出)

第五十九条 次の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項及び次項において「営業所等」という。)を有するものは、その月中に支払つた生命保険契約の保険金若しくは損害保険契約の保険金のうち政令で定めるもの又は支給した退職手当金等(第三条第一項第二号に掲げる給与をいう。以下この項において同じ。)について、翌月十五日までに、財務省令で定めるところにより作成した当該各号に定める調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、保険金額又は退職手当金等の金額が財務省令で定める額以下である場合は、この限りでない。

一 保険会社等 支払つた保険金(退職手当金等に該当するものを除く。)に関する受取人別の調書

二 退職手当金等を支給した者 支給した退職手当金等に関する受給者別の調書

2 保険会社等でこの法律の施行地に営業所等を有するものは、生命保険契約又は損害保険契約の契約者が死亡したことに伴いこれらの契約の契約者の変更の手続を行つた場合には、当該変更の効力が生じた日の属する年の翌年一月三十一日までに、財務省令で定めるところにより作成した調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、当該変更の手続を行つた生命保険契約又は損害保険契約が、解約返戻金に相当する金額が一定金額以下のものである場合その他の財務省令で定めるものである場合は、この限りでない。