相続税減額の特例について,よく使われるものに配偶者の税額の軽減が上げられます。
配偶者の税額の軽減は,被相続人の配偶者が取得する相続財産について一定の範囲で相続税がかからない制度です。
一般的に,配偶者の財産により生活されている方も多いですので,遺された配偶者のその後の生活に配慮して,特に大きな税額の軽減が認められています。
配偶者の税額軽減により,1億6000万円か法定相続分のどちらか多い金額までは相続税はかかりません。(相続税法19条の2第1項)
ちなみに,法定相続分とは,民法上認められた相続人の相続割合のことをいいます。 例えば,①配偶者と子供が相続人である場合,配偶者の法定相続分は2分の1となります(民法900条1号)。
②配偶者と直系尊属が相続人である場合は, 配偶者の法定相続分は3分の2となります(民法900条2号)。
③配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合は, 配偶者の法定相続分は4分の3となります(民法900条3号)。
参照条文 抜粋
(配偶者に対する相続税額の軽減)
第一九条の二 被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。
一 当該配偶者につき第十五条から第十七条まで及び前条の規定により算出した金額
二 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額
イ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第九百条(法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円)