家なき子特例と保有要件2

家なき子特例の保有要件(当該宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること)について前回の質問の他に次のような質問が来たことがあります。

申告期限までに特例の対象となりうる宅地の引き渡し及び所有権の移転はしない、しかし、売買契約は締結し、建物は取り壊して宅地の引き渡しの準備をしている場合にも保有要件をみたすのか、という質問です。

ちなみに、所得税法では、譲渡所得発生の時期は原則として引渡日ですが、契約日を譲渡所得発生の時期として確定申告をすることができます。
しかし、これはあくまでも、収入の帰属認識に関する考えから引渡日と契約日の選択ができるのであって、小規模宅地等の特例という措置法に規定された相続税に関する優遇措置という異なる場面で、譲渡所得の考え方が及ばないと考えるのが通常です。
なお、準用するとの規定もありません。

そのため、通達等があるわけではありませんが、民法上引渡日までは所有権を相続人が有しているのであり、相続税の申告期限前に土地の売買契約をしていたとしても、所有権が移転しない以上、相続税申告期限時点では、当該宅地を有しているといえ、保有要件を満たすと考えられます。

小規模宅地等の特例の適用は、様々な要件があり、実は難しい特例といえます。

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