小規模宅地等の特例の落とし穴(特例対象地が複数ある場合)

小規模宅地等の特例は,自宅の土地,マンションを立てている土地について,5割から最大8割,相続税評価額をさげることのできる制度です。

相続税を適切に減らすためには,高額な資産である土地の評価をさげることが一番効果的な方法といえます。名古屋駅の近くに土地をお持ちの方なら,その相続税評価額に驚かれる人も多いのではないかと思います。

ただし,この小規模宅地等の特例は,その特例対象地を取得する相続人が一番得をする,国が特別に認めた制度(厳密には,土地の相続税評価額が低くなれば,相続財産全体が圧縮されるので,各相続人が納めるべき相続税は少なくなります。)なので,その適用は厳格に判断されます。

通達等で適用の範囲が拡大されることもありますが,原則として要件を個別具体的な事案に応じて解釈することはありません。

 

そして,気をつけなければならないのは,相続財産に特例対象地が複数あり,申告期限までに分割が終わっている特例対象地と分割が終わっていない特例対象地がある場合です。

 

通常,申告期限までに特例対象地の分割が終わらなければ,当初申告では,特例の適用をせずに申告し,3年内分割見込書を添付しておき,分割協議が調った時点で,小規模宅地の特例を適用をし,更正の請求をします。

 

しかし,申告期限時点で,分割が終わっていない対象地がある場合には,分割済みの特例対象地に小規模宅地等の特例を適用するために,相続人全員の同意が必要となります。

相続人全員の同意を得ることができず,小規模宅地等の特例を適用せずに当初申告した場合,分割済みの土地について,特例を適用しないことを税務署に対して意思表示したことになってしまい,すべての土地が分割した後でも,申告期限時点での分割済みの土地について,小規模宅地の特例を適用することができなくなります。

 

小規模宅地等の特例は,一番よく聞く特例の一つですので,その適用も簡単に考えがちですが,実際には,落とし穴がたくさんありますので,心配な方は専門家に相談されることをおすすめします。

相続放棄と保険金

本日は,相続放棄と保険金の関係について説明していきます。

 

保険契約の契約者が被相続人,被保険者が被相続人,保険金受取人が被相続人の子供,死亡保険金額は1000万円である場合を考えます。また,被相続人の相続人は,配偶者と子供の2名とします。

 

 

相続放棄と聞くと相続人の財産は全て放棄するので,相続人が契約者かつ被保険者であった死亡保険契約についても放棄する必要がありそう,と思う方もいらっしゃいます。

 

しかし,実際には,死亡保険金は,被相続人の相続財産ではなく,保険金受取人の固有の財産となります。

つまり,被相続人の相続財産を放棄したとしても,保険金受取人である子供は自己の財産として,保険会社から死亡保険金を受け取ることができるのです。

 

ただし,死亡保険金は,本来の相続財産ではありませんが,相続税法の規定により,相続税の対象となります。いわゆる,みなし相続財産といわれます。

 

ですので,被相続人の課税財産が基礎控除額を超える場合(今回のケースであれば,法定相続人は2人なので,4200万円を超える場合)には,保険金を受け取った子供が相続税を支払う必要があります。

 

このケースで,保険金を受け取る場合は,非課税枠があるので,相続税を支払う必要がないのではないかと思う方もいらっしゃると思います。

たしかに,生命保険金の非課税枠は,法定相続人の数×500万円なので,今回のケースのように相続人が2人いれば,1000万円の非課税枠があります。

非課税枠の計算の際には,法定相続人の数が重要なので,相続放棄して相続人が一人減ったとしても,非課税枠の金額は変わりません。

 

しかし,1000万円の非課税枠があったとしても,非課税金額の適用を受けることができるのは,「相続人」であるため,相続放棄をして「相続人」でなくなった被相続人の子供が非課税金額の適用を受けることはできません。

そのため,相続税を納める必要が出てくるのです。

 

このように,相続税は,意外な落とし穴がありますので,相続税が発生しそうな場合は,専門家にご相談することをおすすめします。

税理士法人心は,名古屋駅の近くに事務所を構えておりますので,お気軽にご相談ください。

基礎控除額と法定相続人

名古屋もずいぶん寒くなってきました。

 

 

本日は,相続税における基礎控除額を計算する際の注意点を書いていこうと思います。

 

相続税の基礎控除額は,相続税の申告義務があるか否かを判断するにあたって,非常に重要な基準となります。

 

この基礎控除額の算出過程に誤りがあると,申告義務があるにも関わらず,申告が必要がないと勘違いしてしまい,相続税の申告期限後に税務署の税務調査が入り,無申告加算税というペナルティを受ける可能性すらあります。

 

平成27年1月1日以後発生した相続については,相続税の基礎控除額は,3000万円+(600万円×法定相続人の数)という計算式から求められます。

 

そして,相続人の中に相続放棄した人がいる場合でも,相続放棄した相続人も法定相続人の人数に含めて,基礎控除を計算します。

 

よくある間違いは,相続放棄した相続人は,遺産を相続することがないので,基礎控除額の計算で法定相続人の数に含めないという間違いです。

相続放棄した相続人が1人の場合,本来の基礎控除額より600万円低い金額が基礎控除額であると誤信し,相続税申告が必要でないのに,相続税申告をしてしまうというおそれがあります。

 

また,例えば,相続人が被相続人の子供1人だけ(第1順位)で,その子供が相続放棄をした結果,第2順位である被相続人の父親と母親の2人が相続人となった場合を考えます。

よくある間違いとしては,相続人が父親と母親の2名が相続人であることから,基礎控除額が4200万円であると考えてしまうことです。

この場合も,法定相続人は,相続放棄したとしても,子供1人だけですので,基礎控除額は3600万円となります。

このように,本来の基礎控除額よりも600万円高い金額が,基礎控除額であると勘違いしてしまった結果,相続税申告をする必要があったのにもかかわらず,相続税申告をせず,税務署に指摘を受けるということがありえます。

 

このような,間違いをしないためにも,相続税に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

税理士法人心では,相続税申告の業務を承っております。

賃貸マンションと相続税対策

賃貸アパートを建てることがなぜ相続税対策となるのかということを説明していきます。

1 現金1億円よりも1億円で購入した土地の方が相続税は安くなる理由

まず,賃貸マンションを建てるには,土地を買う必要があります。

借りて土地を確保することも可能ですが,ここでは,相続税を如何に減らすかということに焦点を合わせていますので,土地を購入することを前提に話を進めます。

相続税の計算は,相続により取得した財産の価額に基づいて行われます。

現金の相続税評価額は,額面そのまま,すなわち,1億円となります。

他方,例えば,1億円で名古屋市の土地を購入した場合,相続税評価額は,いくらとなるのでしょうか。

名古屋市内の土地であれば,基本的に路線価から相続税評価額を算定することが多いです。

そして,土地の相続税評価額は,だいたい取引価額の8割程度といいます。

1億円の土地を購入すれば,課税財産は,8000万円となるのです。(購入してすぐに相続が開始された場合など,例外も設けられています。)

そのため,現金を1億円のまま相続するよりも,取引価格が1億円の土地を相続するほうが,相続税評価額が低くなり,相続税も低くなります。

一般的に人気のある土地は,相続税評価額と取引価額との乖離が激しいといわれています。

2 賃貸マンションを建てると更に土地に課税される相続税が安くなる

1億円の土地を購入し,購入した人が賃貸マンションなど貸家を建てて人に貸している場合,単に土地を更地で所有しているよりもさらに,相続税評価額を下げることができます。

このような土地を貸家建付地といいます。

貸家建付地の場合,建物に他人が住むため,所有者は土地を自由に使用することができなくなります。

そのため,土地は自用地(所有者の自由になる土地)の評価額から,一定の評価減が行われます。

土地が所在する場所にもよりますが,貸家建付地は,更地の相続税評価額から15%程度減額されることが多いです。

このように,賃貸マンションを建てることで,土地の相続税評価額を下げ相続税をより安くすることができます。

3 賃貸マンションを建てること自体が相続税対策となる

建物の相続税評価額は,建築費用や取引価格ではなく,固定資産税評価額が相続税評価額となります。

固定資産税評価額は,通常建築費用や建物の取引価格より低い額とされますので,賃貸マンションを建築するというのも相続税対策になるといえます。

4 注意事項

相続税を少なくすることばかりに目が行き,財産を目減りさせてしまっては,本末転倒です。

1億円の土地を買い,その上に建物を建てるのであれば,どれだけ収益が見込めるのかも重要となってきます。

購入した土地が本当に1億円相当の土地なのか,9000万円で購入できた土地を1億円で購入することになっていないか,信頼できる不動産業者を探す必要があります。

建築費用が割高になっていないか,信頼できる建設業者を探す必要があります。

本当に相続税対策になっているのか,信頼できる税理士を探す必要があります。

賃貸マンションを建てて相続税対策をしたいと考えている方は,一度専門家にご相談されることをおすすめします。

 

生前贈与と名義預金と定期金に関する権利

名古屋では,10月に入ったものの,まだまだ暑い日が続きます。

 

本日は,生前贈与とその注意点について,説明していきます。

相続財産を減らすためには,生前に贈与をすればいいではないかというのは,誰もが考えることですし,相続対策の王道といえます。

しかし,生前贈与をする人が多いため,税務署も生前贈与を要注意項目として見ています。

まずは,贈与したつもりになっていても,贈与の中身が伴っていないという指摘があります。

それが,いわゆる名義預金です。

通帳の名義は他の親族の名義となっていても,実質的に被相続人の財産であるという状況にある預金のことをいいます。

例えば,通帳の名義人である親族がその預金の存在を知らなかったり,自由に使えないといった場合には,名義預金であると税務署が指摘してくる可能性があります。

名義預金として認定されれば,名義預金も相続財産として計上して相続税申告する必要があり,予想していたよりも多くの相続税を払うことになってしまいます。

また,名義預金ではないものの,1000万円を分割して,毎年100万円ずつ贈与していたと,税務署に認定されれば,1000万円について,贈与税を納めなければならないという事態になる可能性もあります。

1000万円について,定期金に関する権利の贈与を受けたとされてしまうのです。

せっかく,相続税対策として,こつこつお金を移動していたのに,知識が不足していたばっかりに,しっかりと対策していれば払わなくてよかった税金を払うことになってしまう。

そのような事例をこれまでたくさん見てきました。

そうならないように,名義預金かどうか等不安を覚える財産をお持ちの方は,一度専門家にご相談することをおすすめします。

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遺留分と相続税

名古屋の弁護士の内堀です。

今日は,遺留分と相続税について説明していきます。

遺留分とは,一定の範囲の法定相続人に最低限認められる相続財産の取得割合のことを言います。

遺留分は,侵害されている相続人が請求,すなわち遺留分減殺請求するか否かを自由に決めることができます。

逆に,遺留分を侵害するだけの相続財産を受け取った相続人は,遺留分の請求がされるかわからない,不安定な立場に立たされるということでもあります。

遺留分減殺請求は,自己のために相続の開始等を知ったときから1年以内に行う必要があるのに対し,相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内とされていることから,遺留分減殺請求の時期等によって,税金の申告の扱いが変わってくることがあります。

相続税の申告期限である相続開始から10ヶ月以内に,遺留分の請求がされ,遺留分の額も決まれば,遺留分を請求し相続財産の一部を受けとった人も含め,各人が各人の取得する相続財産に応じて,相続税の申告及び納付を行えばいいことになります。

問題は,10か月以内に各人の取得する相続財産額が確定しない場合です。

このような場合は,遺留分を侵害している遺言等の内容でいったん,10か月以内に相続税の申告及び納付をする必要があります。

そして,具体的に各人が取得する財産が確定すれば,遺言等の内容よりも多くの財産を取得することになる相続人は,修正の申告をして相続税を納付します。

また,遺留分を侵害していた額を相手方に渡し,遺言書の内容よりも少ない財産を取得することになる相続人は,更正の請求をして,支払いすぎた相続税の還付を求めることになります。

遺留分の争いばかりに意識がいき,相続税のことを忘れている相続人の方も時々いらっしゃいますが,税務署は,そのようなことを考慮してくれません。

相続税について,何も申告せず,無申告加算税,延滞税等がかからないように注意が必要です

固定資産税と相続(連帯納付義務) 後半

今回も,7月と同じく固定資産税について書いていきます

平成30年4月に名古屋の土地の所有者Aが亡くなり,相続人Bと相続人Cがいて,平成31年1月1日時点でも,相続人BC間で分割がされず共有状態であることが前提です。

 

平成31年1月1日時点での土地の所有者は,共有者であるBとCですので,BとCが納税義務者となります。Aの納税義務を承継したわけではありません。

 

地方税法第10条の2 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。

 

この規定を根拠に連帯納税義務があるとされ,自治体は,Bさん又はCさん一人に対して,固定資産税の納付を求めることができ,2分の1は別の相続人が所有しているから半分以上は固定資産税を納付しない!と拒否することはできません。

 

では,前回の記事の内容に戻りますが,

Aが亡くなった年の固定資産税,また,それ以前に未納の固定資産税があった場合にも連帯納税義務があるのでしょうか。

この点について,地方税法からすると,連帯納付義務はなく,相続人は相続分に応じた按分額の責任を負えば足りると考えます(私見)。

 

ただし,実務上,未納額等の固定資産税の通知書で,相続人ごとに按分したものは見たことがありません。

相続人の内の誰か一人に,全額分の通知書が来ることがほとんどです。

ただし,自治体のHPの記載を調べてみると,相続人には,連帯納付義務がありますという記載はあるのですが,根拠としては,地方税法第10条の2(共有者に連帯納付義務があるという規定)をあげているものがほとんどでした。

おそらく実務上,被相続人が亡くなった年の固定資産税及び未納の固定資産税について,一人の相続人が自分の相続分の割合以上の支払い,後に他の相続人と清算をすることがほとんどで,自治体に対し,自分の相続分の割合以上の支払いを拒否する人はあまりいないと思われます。

 

地方税法を熟知している人は少ないと思いますが,そういう場合は,条文を一つ一つ丁寧に調査確認する必要があります。http://www.lawyers-kokoro.com/

固定資産税と相続(連帯納付義務)前半

今日は,固定資産税の納税義務者が亡くなられた場合,固定資産税は誰が払うべきなのか,連帯納付義務があるのかについて,考えたいと思います。

ちなみに,文献や自治体のHP等を調べても,明確に記載されているものはなかったので,あくまでも私見で,今後訂正するかもしれません。

 

例えば,平成30年4月に名古屋の土地の所有者Aがなくなり,相続人Bと相続人Cがいると仮定します。なお,平成31年1月1日時点でも,相続人BC間で分割がされず共有状態であったとします。

 

まず,固定資産税とは,毎年1月1日時点の所有者に課税される税金です。

地方税法第359条 (固定資産税の賦課期日)

固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

 

ですので,4月にAがなくなったからといって,4月までの固定資産税はA名義で納付を求められ,それ以降の固定資産税は相続人名義での納付が求められるということはありません。

あくまでも,1月1日時点で土地の所有者であったAに固定資産税が課税されます,ただし,Aがなくなった場合は,相続人に納税義務が承継されます。

 

地方税法第9条1項(相続による納税義務の承継)

相続(包括遺贈を含む。以下本章において同じ。)があつた場合には、その相続人(包括受遺者を含む。以下本章において同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条の法人は、被相続人(包括遺贈者を含む。以下本章において同じ。)に課されるべき、又は被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金(以下本章において「被相続人の地方団体の徴収金」という。)を納付し、又は納入しなければならない。ただし、限定承認をした相続人は、相続によつて得た財産を限度とする。

 

そして,相続人が複数いる場合には,相続人が相続分により按分して納付義務を負います。

地方税法第9条2項

前項の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人は、被相続人の地方団体の徴収金を民法第九百条から第九百二条までの規定によるその相続分によりあん分して計算した額を納付し、又は納入しなければならない。

 

以下,8月の記事に続く

生前贈与と相続税対策

本日は,生前贈与の注意点をいくつか書いていきます。

 

相続税は,相続開始時における相続財産を評価して,相続税評価額を確定した上で算出される税金です。

ということは,相続開始日までに事前に相続人に贈与をしておけば,相続税が少なくなります。

ただし,贈与の額によっては,贈与税が課されます。

一般的に,同じ額であれば,贈与税の税率のほうが相続税の税率よりも高いので注意が必要です。

 

暦年贈与について

贈与税には,毎年(暦年)110万円の基礎控除があるので,110万円以下の贈与であれば,贈与税はかかりませんし,申告も不要です。

ただし,相続開始日から3年以内の相続人に対する贈与は,110万円の基礎控除額以内の贈与であっても相続税の計算の基礎となる財産として加算されます。

このような加算を避けるためには,法定相続人ではない方に贈与するのがおすすめです。

例えば,被相続人予定者の孫,法定相続人の配偶者に贈与するという方法も考えられます。

 

相続時精算課税について

相続時精算課税とは,一定額(2500万円)まで贈与時に贈与税がかからないかわりに,相続の時に贈与時の評価額で相続税の計算の基礎に加算するという制度です。

相続財産の先渡しというイメージで良いかと思います。

そのため,現金で贈与する場合は,同じ額が相続税の計算の基礎に加算されるので,結局,贈与しなかった場合と同じ相続税を払うことになります。

他方,値上がりが見込まれる土地や株式を2500万円分相続時精算課税を利用して贈与しておけば,相続開始時に,その土地や株式が値上がりしていたとしても,相続開始時において,相続税の計算の基礎として2500万円加算するだけですみますので,値上がり分だけ相続税を少なくすることができます。

 

その他にも国は,生前贈与を勧めており,配偶者に対する贈与,住宅資金の贈与,教育資金の贈与,結婚子育て資金の贈与の場合に,一定の要件のもと,贈与税の優遇をしています。

 

名古屋に住んでいる方はお気軽にご相談ください。

相続税とタワーマンション節税

名古屋駅周辺は,2027年にリニア開業が予定されていることもあり,地価が上昇傾向にあり,また,20階以上のタワーマンションも建設が続いています。

 

皆さんのなかには,不動産を購入することで,相続税を減らすことができると聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その仕組みを説明していきたいと思います。

 

相続財産として,現金1億円があったとします。

この場合,現金1億円は,当たり前ですが,1億円として評価され,1億円が相続税評価額となり,相続税が課税されます。

これに対し,1億円で,市場価格1億円の土地を購入したとします。

土地の相続税評価額は,市場価格と異なります。

土地の相続税評価額は,路線価方式又は倍率方式のどちらかで算出され,一般的に売買価格の8割程度の評価になるといわれています。

とすれば,市場価格1億円の土地は,8000万円程度の評価額となり相続税が課税されます。

このように,2000万円分相続財産を減少させ,相続税を節税することができます。

 

上記の例では,相続税評価額が市場価格の8割と想定して計算しておりますが,この割合は平均的な例を出しただけで,実際の割合は,個々の土地によって違います。

そして,取引価格に比べ相続税評価額の低い不動産を購入できれば,より節税効果が高まります。

 

取引価格に比べ相続税評価額の低い不動産として,よく話題になるのがタワーマンションです。

マンションを購入した場合,専有部分だけでなく,マンションの敷地も専有面積按分で所有権を得ることになります。

タワーマンションの場合,一等地の敷地に建っていることが多いので,その分敷地の評価額が高くなりますが,戸数が多く按分した土地の持ち分は少なくなることもあり,相続税評価額は,市場価格に比較して8割以下となることも多いです。

また,タワーマンションは,最上階の部屋と1階の部屋では,かなり売買価格が異なるのに対し,相続税評価額の計算方法は一緒となります。

例えば,被相続人が,タワーマンションの1階部分の部屋を1億円で購入した場合,不動産の相続税評価額は7000万円(市場価格の8割という一般的な割合よりも低い額を想定しています。)として,3000万円分相続財産を低く評価できるのに対し,最上階の部屋を1億5千万円で購入した場合,相続税評価額は1階と同じく7000万円となるので,8000万円分相続財産を低く評価できることになります。

ただし,2017年以降に建設されたタワーマンションの場合,タワーマンションの上層部分の固定資産税の額を高く計算すると税制が改正されたように,相続税評価額の算出方法が今後変化する可能性もありますし,相続開始前直前にタワーマンションを購入し,相続人が比較的早期に売却するという,まさに典型的なタワーマンション節税が否認された事例もありますので,注意が必要です。

安易にタワーマンション節税という言葉に踊らされず,相続税のシミュレーションと各人にふさわしい生前対策をしっかりと検討すべきといえます。

相続税対策と養子について

4月に入り,名古屋も少しずつ暖かくなってきました。

 

本日は,養子と相続税対策について書きたいと思います。

相続税は,一定以上の相続財産がある場合に,課せられます。相続財産に関わらず支払わなければならない税金ではありません。

平成27年改正以後,3000万円と600万円×法定相続人の人数の合計額以上の相続財産がある場合に,相続税が課されるようになりました。

3000万円と600万円×法定相続人の人数の合計額を基礎控除額といいます。

法定相続人には,養子も含まれますので,養子縁組をすることで,基礎控除額を増やし,相続税対策になるといえます。

しかし,養子を増やし,無制限に基礎控除額を増やすことができるわけではありません。

相続法15条2項

前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。

一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人

二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人

 

この様に,被相続人に実子がいる場合には,基礎控除額の計算の基礎となる養子の人数は1人まで,被相続人に実子がいない場合には,基礎控除額の計算の基礎となる養子の人数は2人までに制限されています。

なお,税法上の養子の人数が制限されているだけですので,民法上養子の数は制限されていません。

 

ただし,養子縁組すれば,相続人となる予定の人達にとっては,自分の相続分が少なくなることを意味しますので,相続人になる可能性がある人達を交えてじっくり話し合う必要があります。

単に,相続税だけに目を向けるのではなく,様々な視点から考えた上で,相続税対策をする必要がありますので,専門家にご相談されることをおすすめします。

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税務調査と「調査の終了の際の手続に関する同意書」

 

本日は,税務調査の手続きに関するお話をしようと思います。

 

税務調査があると,我々税理士が,税務調査の対象となっている依頼者(納税義務者)に,「調査の終了の際の手続に関する同意書」という書面に,印鑑を押していただくようお願いすることがあります。

 

なぜ,このような書類が必要になるかというと,国税通則法に以下のような定めがあるからです。

(調査の終了の際の手続)

第74条の11

1項 税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、更正決定等(第三十六条第一項(納税の告知)に規定する納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)を含む。以下この条において同じ。)をすべきと認められない場合には、納税義務者であつて当該調査において質問検査等の相手方となつた者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。

2項 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。

3項 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。

5項 実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について第七十四条の九第三項第二号に規定する税務代理人がある場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、当該納税義務者への第一項から第三項までに規定する通知等に代えて当該税務代理人への通知等を行うことができる

 

長くて分かりづらいですが,簡単に言うと,税務署は,税務調査の終了の際して,原則として,調査結果を納税義務者に説明する必要があるということです。

ただし,「納税義務者の同意」があれば,税務署は,税務代理人たる税理士に説明等をすれば足ります。

逆にいうと,納税義務者の同意がなければ,税務代理人であっても,納税義務者の代わりに税務署からの説明等を受けることができないということです。

 

それくらい,税務調査の終了の際の納税義務者に対する説明について,国税通則法は重要視しているということです。

 

なお,この「同意」は,条文上,書面であることを要件としておりませんので,厳密には,口頭でも同意があれば足ります。

そのため,地域,調査官によって,書面を求められたり,そうではなかったりします。

 

税務調査でお困りの際には,税理士法人心・弁護士法人心にご相談ください。

過払い金と確定申告

名古屋の内堀です。

今年も確定申告の時期がやってまいりました。申告期限最終日に焦らないようにしていきましょう。

 

少し話は変わりますが,私が所属する名古屋の事務所では,過払いの請求について弁護士に相談に来られる方が多く,また,実際に過払い金を取り戻すことができた方がたくさんいます。

 

ただ,過払い金というお金を取得することで,確定申告が必要になってくるのではないかとご不安に思われる方もいらっしゃるので,本日は,過払い金と確定申告をテーマに記事を書いていきたいと思います。

 

そもそも,過払い金を請求し,過払い金を取り戻せたお金の中には,払いすぎた利息以外のものが含まれることがあります。

それは,過払い金利息です。

過払い金利息は,過払い金元本(これが払いすぎた利息そのものです。)が発生してから返還されるまで,年間5%の割合で,発生していきます。

 

過払い金元本に関しては,もともと払う必要のなかったお金が返還されただけなので,所得があったとはいえず,課税関係は生じません。

つまり,確定申告は不要です。

 

しかし,過払い金利息に関しては,その支払いを受けた日の属する年に雑所得があったことになります。

給与所得者の場合,年末調整によって,所得税額が確定し,基本的には,確定申告は不要となることは,皆さんご存知だと思います。

しかし,今回のように,雑所得の額によっては確定申告が必要(所得税法121条参照)となってきます。(雑所得の額以外にも確定申告が必要となる場合がありますがここでは割愛します。)

具体的には,過払い金利息が20万円を超える場合には,確定申告が必要となります。

 

過払い金利息だけで20万円を超える場合というのは,過払い金元本が多額であったり,過払い金元本の発生から返還までが長期間である場合に限られますが,注意が必要です。

 

なお,過払い金の発生の原因である借り入れが事業のために行われたもので,借入返済の際に支払った利息を経費としていた場合は,この記事の内容とは違った取扱になりますので,詳しくは専門家にご相談ください。

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孫養子と2割加算

名古屋の弁護士の内堀です。

 

今回は,孫養子に関係する相続税の規定の話をしようと思います。

 

相続税対策として,孫を養子にする方法が有名です。

基礎控除は,「3000万円+法定相続人の数×600万円」という計算をするので,孫を養子にすることで,600万円分の節税になります。ただし,孫養子が法定相続人となれば,当たり前ですが,孫養子にも法定相続分に応じた相続財産を取得する権利がありますし,遺言等で孫養子に一切の財産を承継させないとしていたとしても,遺留分が認められます。

そのため,孫養子の行動次第では,新たな相続紛争の種が生まれることになります。

推定相続人が全員で,孫養子について節税のメリットだけでなく,どのようなデメリットがあるのかを検討する等,孫養子という相続税対策をするには,慎重な対応が求められると思います。

 

また,孫養子の場合は,相続税に関して不利な規定が相続税法に定められています。

 

(相続税額の加算)

第18条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。

2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。

 

この規定から,孫養子は原則として,相続税が通常の場合よりも2割加算されます。

ただし,孫養子が代襲相続人としての地位も有する場合には,2割加算の対象とはなりません。

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死亡届について

名古屋の弁護士の内堀です。

12月に入ったというのに,名古屋は時々汗ばむような陽気で,寒がりな自分としてはありがたいです。

 

今日は,死亡届に関することを書こうと思います。

人が亡くなったとき,最初にする手続きの一つとして,死亡届の提出があります。

 

届出義務者は,死亡届7日以内に届け出する義務があります。

誰が届出義務者かという定めは,戸籍法にあります。

第86条1項

死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。

 

死亡届が出されていなければ,火葬を行うことができないなどの不都合があります。

また,正当な理由なく死亡届を出さない場合には罰則が定められています。

 第135条

正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、5万円以下の過料に処する。

 

最近は,孤独死が社会問題化となっておりますが,賃貸等で一人暮らしの方がなくなった場合は,誰が死亡届を出さなければならないのでしょうか。

その点についても,戸籍法に定めがあります。

第87条1項

左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

2項 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。

 

戸籍法の定めから,後見する人がいない天涯孤独の方が賃貸物件で孤独死した場合は,大家さんといった賃貸物件の管理人らが死亡届を出す必要があるかもしれないので注意が必要です。

 

相続税と上場株式の評価(特に,課税時期が土日祝日のとき)について

名古屋の税理士兼弁護士の内堀です。

最近名古屋も肌寒くなる日が増えてきました。みなさま,風邪をひかないようにお気をつけください。

 

さて,本日は,相続の際,上場株式をどのように評価するのかを説明したいと思います。

国税庁によると

財産評価基本通達169

上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

(1) (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式については、納税義務者が選択した金融商品取引所とする。(2)において同じ。)の公表する課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する

(2) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。

 

とあります。

簡単にいえば,課税時期(相続開始日)の最終価格,相続開始日の属する月の1か月前の最終価格の月平均額,2か月前の最終価格の月平均額,3か月前の最終価格の月平均額の中で最も低い金額で評価できるということです。

 

なお,課税時期(相続開始日)の最終価格ですが,課税時期が休日で株式市場が開いておらず,株価が存在しない場合はどうするのでしょうか。

 

財産評価基本通達171

169≪上場株式の評価≫の定めにより上場株式の価額を評価する場合において、課税時期に最終価格がないものについては、前項の定めの適用があるものを除き、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる最終価格をもって課税時期の最終価格とする。

(1)

(2)又は(3)に掲げる場合以外の場合 課税時期の前日以前の最終価格又は翌日以後の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格(その最終価格が2ある場合には、その平均額)

 

との定めがあります。

 

例えば,相続開始日が土曜日であるなら,金曜日の終値が課税時期の最終価格となります。

このこと知らず,相続開始日が土曜日であるにもかかわらず,相続開始日以後のいちばん近い平日(月曜日)の株価を最終価格とする方もいますので,注意が必要です。

民法改正と遺留分について

名古屋では,台風が過ぎ去ったものの,夏の様な気候が戻ってきています。

弁護士の内堀です。

 

今回は,民法改正の一部について書いてみたいと思います。

 以前,不動産と遺留分について,記事を書きました。

その時は,

「相続財産が不動産しかない場合,遺留分権利者は原則として,不動産の持分について移転登記を請求することしかできないのですが,受遺者が,金銭で賠償したいと反論した場合にのみ,遺留分を現金でもらうことができます。」と書きました。

 

このような現行法では,遺留分減殺請求権が行使されることで,遺贈の目的物の土地や非上場株式が共有状態になり,権利関係が複雑になってしまっていました。

 また,遺留分権利者には,現物を取得するか,金銭を取得するかの選択肢が与えられていない点も問題視されていました。

 

このような状況のもと,民法の改正がされ,以下のような条文が創設されました。

改正民法第1046条1項

 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

 

この条文により,改正民法施行後は

遺留分権利者は,遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを請求することにできるようになりました。

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葬式費用と債務控除

名古屋の税理士兼弁護士の内堀です。

 

今回は,債務控除のうち,一番金額が大きくなることが多い葬式費用について,説明していきます。

 

まず,相続税申告の際には,相続人の財産をすべて確認・評価し,プラスの財産からマイナスの財産を引いて,相続税の課税対象となる被相続人の財産の額を算出します。

プラスの財産から葬儀費用といったマイナスの財産を差し引くことを債務控除といいます。

 

なお,葬儀費用は,被相続人の死後に発生する債務なので,被相続人のマイナスの財産には当たらないようにも思えます。

しかし,人が亡くなれば,葬式は当然に行われるものであり,被相続人の財産から負担されるべきものであるという考え方から債務控除が認められています。

 

次に,債務控除が認められている葬儀費用の範囲が重要となります。

葬儀費用の範囲が間違っていれば,本来債務控除できるはずの額を少なく申告し,納付する必要のない相続税を納付してしまうということにもなりかねません。

逆に,本来債務控除できないものを債務控除して申告すれば,税務署が税務調査を行い,足りない相続税を納付するように指摘を受け,さらにペナルティを受ける可能性もあります。

 

葬式といっても,宗教の違いや地域の違いにより,その様式は様々ですし,葬儀費用の範囲を法律で厳格に定めることは難しいことから,何が債務控除できる葬式費用か国税庁が一定のルールを定めています。

そのルールによれば,葬式費用となるは,①葬式の際に,火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(簡単に言えば葬儀会社に通常支払う費用です。),②葬儀会社への支払い以外で通常,葬式(お通夜含む)の際にかかる費用(飲食の費用,心付け等),③葬式の際にお寺に支払う読経料等のお布施,④死体の捜索,死体や遺骨の運搬にかかった費用,といったものが挙げられます。

他方,葬式費用とならないのは,①香典返しの費用,②墓石や墓地の購入費用,墓地借地料,③初七日,法事に関する費用,といったものが挙げられます。

葬儀会社に支払う費用で,初七日の費用が区別されている場合(内訳明細等で確認します。)は,初七日の費用を差し引いた上で,債務控除することになるといったことも必要なので,債務控除できるかどうかご心配であれば専門家にご相談されることをお勧めします。

相続税の納付の注意点

名古屋の弁護士・税理士の内堀です。

 

今回は,相続税の納付の際の注意点について,説明したいと思います。

 

相続税の申告と納付は,相続を知った日の翌日から10か月内に,被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に対しておこなう必要があります。

例えば,名古屋市中区が最後の住所地であれば,名古屋中税務署に申告と納付をする必要があります。

 

相続税の納付方法として,分割や物納を原則として認められていません。現金一括払いが基本です。

預貯金が多ければそれでも問題ないのですが,ほとんどが不動産であったり,相続財産の分け方でもめていて,10か月以内に遺産分割協議がまとまらなかったりすると大変です。

特に,未分割で申告する場合は,相続税をおさえる各種特例の適用を受けられないため,予想よりも多くの相続税を納める必要が出てくることもあります。

なお,未分割申告の場合,分割されたあとに,申告をし直すことによって,払いすぎた相続税が戻ってくることもありますので,忘れずに申告をしましょう。

 

そのような原則があるものの,現金で相続税を納付することが困難であるという事情があれば,一定の条件のもと延納制度を利用することができます。

延納も困難な場合には,一定の条件のもと物納制度を利用することができます。

 

相続税の納付についてお困りの方は一度,専門家にご相談されることをおすすめします。

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公正証書遺言の保管期間

弁護士の内堀です。

本日は,公正証書遺言の保管期間についてお話したいと思います。

普通方式の遺言には,自筆証書遺言,秘密証書遺言,公正証書遺言の3種類があります。

このうち,自筆証書遺言,秘密証書遺言は,基本的に,遺言者本人が保存するものなので,保管期間を気にする必要がありません。紛失の恐れはありますが・・・

他方,公正証書遺言は,遺言の原本を公証役場が保存します。

公証役場はどの程度の期間,この原本を保存するのでしょうか。

 

公正証書遺言の原本保管期間は,原則二十年であると,公証人法規則に規定されています。

公証人法施行規則27条1項

公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。

一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年

 

そうすると,60歳の時に公正証書遺言を作成したが80歳を越えて存命の場合,60歳の時に作成した公正証書遺言が破棄されてしまい,新しく公正証書遺言を作り直さなければならないのでしょうか?

 

その必要はありません。なぜなら,公証人法規則には,さらに,保存期間が満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは,その事由のある間保存しなければならないと,規定しているからです。

 

公証人法施行規則27条3項

第一項の書類は、保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。

 

公正証書遺言の場合,「保存の必要があるとき」とは,遺言者が生きていることを意味します。

ですので,安心して,公正証書遺言を作成していだければと思います。

なお,厳密にいえば,どの程度の期間が過ぎれば,保存の必要がなくなるとするのかは,公証役場ごとに取扱いがことなります。

遺言者が120歳程度の年齢に達する期間が経過するまで破棄しないという公証役場もあれば,破棄は一切しないという公証役場もあるようです。

名古屋駅前公証役場の場合は,120歳までは確実に保管しているとお聞きしたことがあります。

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