相続税と上場株式の評価(特に,課税時期が土日祝日のとき)について

名古屋の税理士兼弁護士の内堀です。

最近名古屋も肌寒くなる日が増えてきました。みなさま,風邪をひかないようにお気をつけください。

 

さて,本日は,相続の際,上場株式をどのように評価するのかを説明したいと思います。

国税庁によると

財産評価基本通達169

上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

(1) (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式については、納税義務者が選択した金融商品取引所とする。(2)において同じ。)の公表する課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する

(2) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。

 

とあります。

簡単にいえば,課税時期(相続開始日)の最終価格,相続開始日の属する月の1か月前の最終価格の月平均額,2か月前の最終価格の月平均額,3か月前の最終価格の月平均額の中で最も低い金額で評価できるということです。

 

なお,課税時期(相続開始日)の最終価格ですが,課税時期が休日で株式市場が開いておらず,株価が存在しない場合はどうするのでしょうか。

 

財産評価基本通達171

169≪上場株式の評価≫の定めにより上場株式の価額を評価する場合において、課税時期に最終価格がないものについては、前項の定めの適用があるものを除き、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる最終価格をもって課税時期の最終価格とする。

(1)

(2)又は(3)に掲げる場合以外の場合 課税時期の前日以前の最終価格又は翌日以後の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格(その最終価格が2ある場合には、その平均額)

 

との定めがあります。

 

例えば,相続開始日が土曜日であるなら,金曜日の終値が課税時期の最終価格となります。

このこと知らず,相続開始日が土曜日であるにもかかわらず,相続開始日以後のいちばん近い日(月曜日)の株価を最終価格とする方もいますので,注意が必要です。

民法改正と遺留分について

名古屋では,台風が過ぎ去ったものの,夏の様な気候が戻ってきています。

弁護士の内堀です。

 

今回は,民法改正の一部について書いてみたいと思います。

 以前,不動産と遺留分について,記事を書きました。

その時は,

「相続財産が不動産しかない場合,遺留分権利者は原則として,不動産の持分について移転登記を請求することしかできないのですが,受遺者が,金銭で賠償したいと反論した場合にのみ,遺留分を現金でもらうことができます。」と書きました。

 

このような現行法では,遺留分減殺請求権が行使されることで,遺贈の目的物の土地や非上場株式が共有状態になり,権利関係が複雑になってしまっていました。

 また,遺留分権利者には,現物を取得するか,金銭を取得するかの選択肢が与えられていない点も問題視されていました。

 

このような状況のもと,民法の改正がされ,以下のような条文が創設されました。

改正民法第1046条1項

 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

 

この条文により,改正民法施行後は

遺留分権利者は,遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを請求することにできるようになりました。

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葬式費用と債務控除

名古屋の税理士兼弁護士の内堀です。

 

今回は,債務控除のうち,一番金額が大きくなることが多い葬式費用について,説明していきます。

 

まず,相続税申告の際には,相続人の財産をすべて確認・評価し,プラスの財産からマイナスの財産を引いて,相続税の課税対象となる被相続人の財産の額を算出します。

プラスの財産から葬儀費用といったマイナスの財産を差し引くことを債務控除といいます。

 

なお,葬儀費用は,被相続人の死後に発生する債務なので,被相続人のマイナスの財産には当たらないようにも思えます。

しかし,人が亡くなれば,葬式は当然に行われるものであり,被相続人の財産から負担されるべきものであるという考え方から債務控除が認められています。

 

次に,債務控除が認められている葬儀費用の範囲が重要となります。

葬儀費用の範囲が間違っていれば,本来債務控除できるはずの額を少なく申告し,納付する必要のない相続税を納付してしまうということにもなりかねません。

逆に,本来債務控除できないものを債務控除して申告すれば,税務署が税務調査を行い,足りない相続税を納付するように指摘を受け,さらにペナルティを受ける可能性もあります。

 

葬式といっても,宗教の違いや地域の違いにより,その様式は様々ですし,葬儀費用の範囲を法律で厳格に定めることは難しいことから,何が債務控除できる葬式費用か国税庁が一定のルールを定めています。

そのルールによれば,葬式費用となるは,①葬式の際に,火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(簡単に言えば葬儀会社に通常支払う費用です。),②葬儀会社への支払い以外で通常,葬式(お通夜含む)の際にかかる費用(飲食の費用,心付け等),③葬式の際にお寺に支払う読経料等のお布施,④死体の捜索,死体や遺骨の運搬にかかった費用,といったものが挙げられます。

他方,葬式費用とならないのは,①香典返しの費用,②墓石や墓地の購入費用,墓地借地料,③初七日,法事に関する費用,といったものが挙げられます。

葬儀会社に支払う費用で,初七日の費用が区別されている場合(内訳明細等で確認します。)は,初七日の費用を差し引いた上で,債務控除することになるといったことも必要なので,債務控除できるかどうかご心配であれば専門家にご相談されることをお勧めします。

相続税の納付の注意点

名古屋の弁護士・税理士の内堀です。

 

今回は,相続税の納付の際の注意点について,説明したいと思います。

 

相続税の申告と納付は,相続を知った日の翌日から10か月内に,被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に対しておこなう必要があります。

例えば,名古屋市中区が最後の住所地であれば,名古屋中税務署に申告と納付をする必要があります。

 

相続税の納付方法として,分割や物納を原則として認められていません。現金一括払いが基本です。

預貯金が多ければそれでも問題ないのですが,ほとんどが不動産であったり,相続財産の分け方でもめていて,10か月以内に遺産分割協議がまとまらなかったりすると大変です。

特に,未分割で申告する場合は,相続税をおさえる各種特例の適用を受けられないため,予想よりも多くの相続税を納める必要が出てくることもあります。

なお,未分割申告の場合,分割されたあとに,申告をし直すことによって,払いすぎた相続税が戻ってくることもありますので,忘れずに申告をしましょう。

 

そのような原則があるものの,現金で相続税を納付することが困難であるという事情があれば,一定の条件のもと延納制度を利用することができます。

延納も困難な場合には,一定の条件のもと物納制度を利用することができます。

 

相続税の納付についてお困りの方は一度,専門家にご相談されることをおすすめします。

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公正証書遺言の保管期間

弁護士の内堀です。

本日は,公正証書遺言の保管期間についてお話したいと思います。

普通方式の遺言には,自筆証書遺言,秘密証書遺言,公正証書遺言の3種類があります。

このうち,自筆証書遺言,秘密証書遺言は,基本的に,遺言者本人が保存するものなので,保管期間を気にする必要がありません。紛失の恐れはありますが・・・

他方,公正証書遺言は,遺言の原本を公証役場が保存します。

公証役場はどの程度の期間,この原本を保存するのでしょうか。

 

公正証書遺言の原本保管期間は,原則二十年であると,公証人法規則に規定されています。

公証人法施行規則27条1項

公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。

一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年

 

そうすると,60歳の時に公正証書遺言を作成したが80歳を越えて存命の場合,60歳の時に作成した公正証書遺言が破棄されてしまい,新しく公正証書遺言を作り直さなければならないのでしょうか?

 

その必要はありません。なぜなら,公証人法規則には,さらに,保存期間が満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは,その事由のある間保存しなければならないと,規定しているからです。

 

公証人法施行規則27条3項

第一項の書類は、保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。

 

公正証書遺言の場合,「保存の必要があるとき」とは,遺言者が生きていることを意味します。

ですので,安心して,公正証書遺言を作成していだければと思います。

なお,厳密にいえば,どの程度の期間が過ぎれば,保存の必要がなくなるとするのかは,公証役場ごとに取扱いがことなります。

遺言者が120歳程度の年齢に達する期間が経過するまで破棄しないという公証役場もあれば,破棄は一切しないという公証役場もあるようです。

名古屋駅前公証役場の場合は,120歳までは確実に保管しているとお聞きしたことがあります。

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固定資産税と準確定申告

名古屋の弁護士の内堀です。

 

前回は,固定資産税の納税通知書が来ていなくとも(納期の開始が未到来)債務控除できるかということをお話しました。

 

今回は,準確定申告の際に,納期の期限が未到来の固定資産税を経費とできるかをお話したいと思います。

 

被相続人が亡くなった日及び相続人がそのことを知った日が平成30年3月1日。平成30年1月1日時点において,名古屋中村区の不動産を所有し,その不動産を貸して賃料収入を得ている場合を例に考えてみます。

この場合,固定資産税等の納税通知書はささしま市税事務所から4月中に,被相続人の住所地又は手続きが済んでいれば相続人の住所地に送付されます。

そもそも,準確定申告とは,相続人が,被相続人の平成30年1月1日から死亡した日までの所得について,相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内におこなう必要のある申告です。

平成30年3月1日に相続の開始を知っていたならば,平成30年7月1日が申告期限となっています。

例年通り,平成31年3月15日までに申告すればいいというわけではないことに注意が必要です。

 

 

そして,所得税法等は,経費とできる範囲について

 

所得税法第37条(必要経費) 

 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

 

所得税法基本通達37-6(その年分の必要経費に算入する租税)

法第37条第1項の規定によりその年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとする。ただし、次に掲げる税額については、それぞれ次による。

(3) 賦課税方式による租税のうち納期が分割して定められている税額 各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

とありますので,被相続人が亡くなったのが3月であれば,平成30年分の固定資産税等は,納期の開始日が到来しておらず,実際に納付することもできないので,経費とはならいないことになります。

固定資産税と債務控除

弁護士の内堀です。

 

今回は,相続税の計算の際に,まだ払っていない固定資産税を債務控除できるか,ということについて書いてみたいと思います。

例えば,平成30年1月1日時点において,名古屋市中村区の不動産を所有していれば,ささしま市税事務所から固定資産税等の納税通知書が,4月中に送付されます。

そして,被相続人が亡くなった日が平成30年1月2日であった場合,まだ納税通知書すら来ていない固定資産税を債務控除できるのでしょうか。

4月に納税通知書が来ることが確実ですが,相続開始日には,納税通知書が来ておらず,その額もわからない。債務控除できるか迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

 

前提として,固定資産税はその年の1月1日に当該不動産を所有している方に,賦課されます。

地方税法

(固定資産税の納税義務者等)

第三百四十三条 固定資産税は、固定資産の所有者・・・に課する

(固定資産税の賦課期日)

第三百五十九条 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

 

また,相続法では,

(債務控除)

第十三条 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)

第十四条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る

2 前条の規定によりその金額を控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際債務の確定しているものの金額のほか、被相続人に係る所得税、相続税、贈与税、地価税、再評価税、登録免許税、自動車重量税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税及び印紙税その他の公租公課の額で政令で定めるものを含むものとする。

 

と規定されています。

これらの規定から,相続開始日が平成30年1月2日である場合,平成30年1月1日に不動産を所有していた被相続人に固定資産税という公租公課が賦課されることは確実なので,固定資産税の額をを債務控除することができそうです。

相続開始日に,納税通知書が来ているか否か,すでに固定資産税を支払っているか否か,は関係ありません。

遺留分と不動産

名古屋も少しずつ暖かくなり,桜のきれいな季節となってきました。

弁護士の内堀です。

 

今回は,不動産と遺留分について,書いてみたいと思います。

 

相続財産が不動産しか無い時,絶対に不動産自体をもらいたいと主張する遺留分権利者もいますし,絶対に金銭をもらいたいと主張する遺留分権利者もいます。

 

法律上はどうなっているのでしょうか。

 

一般論として,日本の民法では,物の遺留分は,原則として,金銭ではなく,共有持分をもって清算されることになっています。

そのため,相続財産について,不動産しかない場合は,共有持分につき,不動産の移転登記請求権を請求できるにとどまり,遺留分権利者が,不動産の共有持分に相当する金銭を請求することはできません。

 

他方,遺留分を請求されている側(以後,受遺者といいます。)は,遺留分権利者と当該不動産を共有したくないと考えれば,遺留分権利者に対し,金銭で遺留分を支払う旨意思を表明し,遺留分に応じた金銭を支払うことで,移転登記請求を免れることができます。

 

以上をまとめると,相続財産が不動産しかない場合,遺留分権利者は原則として,不動産の持分について移転登記を請求することしかができないのですが,受遺者が,金銭で賠償したいと反論した場合にのみ,遺留分を現金でもらうことができます。

確定申告と医療費控除 3

弁護士の内堀です。

確定申告の期限も迫ってきました。

名古屋中村区の方であれば,ウインク愛知が確定申告会場となっています。

 

今回も医療費控除の話題の続きです。

医療費控除は単純に見えて意外に落とし穴が多く,医療費控除の対象になると思われているものが,対象でなかったり,医療費控除の対象にならないと思い込んでいたものが対象であったりします。

 

大雑把にいえば,治療目的で支出したものかどうかが,判断基準となります。

そのため,予防目的,健康維持促進目的の場合に支出したものは,医療費控除の対象になりません。

 

例えば,予防接種の料金を医療費控除の対象だと考えておられる方が多いですが,予防接種は基本的に予防目的であるため,医療費控除の対象にならないと考えておいた方が無難です。

 

また,病院までの交通費は医療費控除の対象にならないと思われている方が多いですが,実は医療費控除の対象となります。

ただし,基本的に公共交通機関を利用した場合の交通費が対象になり,特別な事情がなければタクシー代は医療費控除の対象ではありませんし,自家用車のガソリン代,駐車料金も同様です。

なお,公共交通機関を利用した場合は,しっかりと領収書等の証拠を残しておきましょう。

確定申告と医療費控除 2

名古屋の弁護士の内堀です。

今回は,医療費控除のお話の続きです。

 

Q 医療費の領収の原本は戻ってくるのですか。

医療費控除を受けたい場合,原則として,領収書原本を提出する必要があります。

何度も領収書を使い回すなど不正に利用されることを防ぐためです。

しかし,原本を手元においておきたいという方もいらっしゃると思います。

そんな方は,税務署の窓口で,領収書を手元においておきたい旨伝えましょう。

そうすると,税務署の職員は,領収書の内容をその場で確認したあと,確認済みの印を押して,領収書を返してくれます。

なお,内容の確認に時間がかかることもあるので注意が必要です。

また,領収書原本の提示を後日税務署から求められることもあるので,しっかりと保管しておきましょう。

また,郵送の場合は,領収書を返却希望である旨わかるようにして,返信用封筒を同封しておけば,後日領収書が返送されます。

また,電子申告システムを利用する場合は,医療費の金額,医療機関等の情報をデータとして送り,領収書原本を提出する必要が無いので,領収書を手元においておくことができます。

また,2018年からは,医療費控除の明細書を提出することで,領収書の原本を提出する必要がなくなりました。

確定申告と医療費控除 1

第1 確定申告と医療費控除

そろそろ,確定申告の時期がやってきました。名古屋市中村区に住んでいる場合は,名古屋中村税務署に申告することになります。

確定申告期間は,平成30年2月16日(金)から平成30年3月15日(木)で,平成29年1月1日から平成29年12月31日までの会計結果を税務署に報告しなければなりません。

この時期になると,確定申告に関していろいろと質問を受けることが多いのですが,その中でも医療費控除のことについて,よく聞かれます。

医療費控除について,よく聞かれる内容をいくつか説明していきたいと思います。

第2 医療費控除とは

そもそも,医療費控除とは,医療費をたくさん払った人に対して,税金を軽くする制度です。

平成30年3月15日までに申告する場合であれば,平成29年1月1日から平成29年12月31日の間に,自己又は自己と生計を同じくする配偶者その他親族のために医療費を支払った場合で,その額が一定額を越えるとき,所得控除を受けることができるのです。

医療費控除=支払った医療費合計額-保険金等の補填金額-(10万円又はその年の総所得金額が200万円未満の人は,総所得金額の5%の金額)という計算によって,医療費控除の対象となる金額が導き出されます。

保険金等の補填金額とは,高額療養費や出産育児一時金等も含まれます。

なお,保険金等の補填金額は,その保険金等に対応する支払済医療費の金額を限度として差し引きます。

例えば,ある怪我の治療のため医療費が15万円かかり保険金が20万円給付された場合,引ききれない5万円について他の怪我のために支払った医療費に補填して,医療費控除の金額を計算しないということです。

第3 よく聞かれる質問について

1 確定申告をする本人の医療費のみが医療費控除の対象ですか?

すでに,説明したとおり,生計を一にする配偶者・親族の医療費であれば対象になります。

成年した子どもであっても,親が金銭面も含めて生活の面倒を見ている場合であれば,生計を一にしているといえるでしょう。

なお,1年を通して生計を一にしている必要はなく,医療費の支出があった時点で生計を一にしていれば大丈夫です。

2 医療費控除は10万円以上の医療費を支払ってなければ,関係ありませんよね?

これもすでに説明したとおりです。

医療費控除は,その年の総所得金額等が200万円未満の人は,総所得金額等の5%の金額以上の医療費を支払っていれば,所得控除を受けることができます。

ですから,10万円以上の医療費を支払ってない場合でも,医療費控除を受けられる可能性があることに注意してください。

独占禁止法違反と私法上の効力

弁護士の内堀です。

ここ最近,名古屋がさらに冷え込んできています。

 

さて,今回は,ある法律行為が独占禁止法に違反した場合,私法上の効力が無効となってしまうのか,という話をしたいと思います。

この問題について,独占禁止法その他法律に明文の規定はありませんので,解釈が必要となってきます。

 

最高裁は,いわゆる両建預金が独占禁止法19条に違反するという事例(岐阜商工信用組合事件,最判昭和52年6月20日)の判決の中で,

独禁法一九条に違反した契約の私法上の効力については、その契約が公序良俗に反するとされるような場合は格別として、上告人のいうように同条が強行法規であるからとの理由で直ちに無効であると解すべきではない。けだし、独禁法は、公正かつ自由な競争経済秩序を維持していくことによって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするものであり、同法二〇条は、専門的機関である公正取引委員会をして、取引行為につき同法一九条違反の事実の有無及びその違法性の程度を判定し、その違法状態の具体的かつ妥当な収拾、排除を図るに適した内容の勧告、差止命令を出すなど弾力的な措置をとらしめることによって、同法の目的を達成することを予定しているのであるから、同法条の趣旨に鑑みると、同法一九条に違反する不公正な取引方法による行為の私法上の効力についてこれを直ちに無効とすることは同法の目的に合致するとはいい難いからである。」と判示しています。

この判例からすると,最高裁は,独占禁止法違反行為について,絶対的に無効と考えているわけではなさそうです。

また,東京高判平成9年7月31日の花王化粧品販売事件においては,「独禁法に違反する私法上の行為の効力は,強行法規違反の故に直ちに無効になるとはいえないが,違反行為の目的,その態様,違法性の強弱,その明確性の程度に照らし,当該行為を有効として独禁法の規定する措置に委ねたのでは,その目的が十分に達せられない場合には,公序良俗に違反するものとして民法90条により無効となるものと解される」として,独禁法違反が私法上も無効となる場合の規範を判示しています。

また,上記の判例・裁判例は,法律行為そのものが独禁法違反となるか争われていますが,法律行為の前提となる行為が独禁法違反となる場合,法律行為の私法上の効力にどのような影響を及ぼすのかという問題もあります。

青色申告承認の再申請について

名古屋もだいぶ寒くなってきました。

 

今回は,青色申告の再申請についてです。

 

(青色申告の承認の取消し)

法人税法第127条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に定める事業年度まで遡つて、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあつたときは、当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものを除く。)は、青色申告書以外の申告書とみなす。

一 その事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が前条第一項に規定する財務省令で定めるところに従つて行われていないこと 当該事業年度

二 その事業年度に係る帳簿書類について前条第二項の規定による税務署長の指示に従わなかつたこと 当該事業年度

三 その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること 当該事業年度

四 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと 当該申告書に係る事業年度

 

このように法人税法には,一定の理由があれば,青色申告承認を取り消す規定があります。

青色申告の承認の取消通知書が来てしまったら,二度と青色申告ができなくなるのではないかと不安に思われる方がいるかもしれません。

青色申告承認の再申請について説明していきたいと思います。

法人税法を見ると

第123条 税務署長は、前条第一項の申請書の提出があつた場合において、その申請書を提出した内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる。

と規定され,

3号に「第百二十七条第四項(青色申告の承認の取消し)の規定による通知を受け、又は第百二十八条(青色申告の取りやめ)に規定する届出書の提出をした日以後一年以内にその申請書を提出したこと。」とあります。

この規定から,青色申告承認の取消通知を受けた日以後,1年間は申請することができないということになります。

そして,青色申告承認の取消通知の翌期(取消通知から1年経過した後)は青色申告の承認申請をすることしかできず,

(青色申告の承認の申請)

法人税法第123条 当該事業年度以後の各事業年度の前条第一項各号に掲げる申告書を青色の申告書により提出することについて同項の承認を受けようとする内国法人(連結申告法人を除く。)は、当該事業年度開始の日の前日までに、当該事業年度開始の日その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

という規定から,青色申告承認は,申請の翌期から,適用を受けます。

その結果,翌々期からの青色申告が最短となります。

具体的にいうと,

12月末決算の会社で,平成28年2月に取消通知がきた場合,

平成29年2月までは申請できません。

平成29年3月から承認申請が可能で,平成29年12月末日までに申請すれば,平成30年1月から青色申告をすることができます。

禁治産者について

弁護士の内堀です。

今回は,禁治産者について記事を書きたいと思います。

 

自己破産すると禁治産者になると誤解されている方もおられます。

おそらく,

自己破産

→ペナルティとしてお金を自由に使うことができなさそう

→禁治産者ってお金を自由に使えない人っぽい

→自己破産したら禁治産者になるのでは?という思考の流れかと思います。

 

しかし,これは全くの誤解です。

禁治産者とは,

心神喪失の常況にある者で,一定の利害関係人の請求があり,家庭裁判所が禁治産宣告を言い渡した者(旧民法7条)をいいます。

 

ところが,禁治産者という言葉が偏見を生みかねない表現だということで,現在は,成年被後見人と呼ばれるようになっています。(現行民法7条)

 

このように,自己破産と禁治産者は無関係です。

 

ところで,自己破産すると,どの程度お金を自由に使う権利が制限されるのでしょうか。

それは,次々回の記事で書きたいと思います。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第11回

第11回のサムライコンサル塾では,これまでの学んだノウハウが,現実では,どのように活用されているのかを学びます。

売上を上げる際,大切なことは何でしょうか。

客単価,客数ばかりに,目が行きますが,もっと大切なことがあります。

具体的な話を交えて,これまで学んできたことを再学習するのは大変勉強になります。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第10回

第10回でのサムライコンサル塾のテーマは,キャッチコピーです。

誰もが,大手企業のようなおしゃれなキャッチコピーを真似したがりますが,大手企業と中小企業では,その目的が異なります。

 

中小企業の場合,キャッチコピーは,潜在的な顧客に商品やサービスを買ってもらうことを目的としていることが多いです。

他方,大手企業は,キャッチコピーによって,企業のイメージをあげようとすることが多いです。

 

では,大手企業のキャッチコピーをみていきます。

「人と自然が響き合う」

「ひとのときを思う」

誰もが一度は聞いたことがあるようなフレーズですが,このキャッチコピーを聞いて,何かを買いたい,サービスを受けたいと思う人はいるでしょうか。

 

中小企業の場合は,キャッチコピーによって,イメージ戦略ではなく,購買意欲を高めたいと思うことが多いので,大手企業の真似をしていてもあまり効果はありません。

 

では,どうすれば中小企業が独自のキャッチコピーを生み出せるのでしょうか。

このあたりのことをサムライコンサル塾では,学びます。

興味のある方は,サムライコンサル塾のホームページを覗いてみて下さい。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第9回

第9回でのサムライコンサル塾では,コミュニケーションについて学びます。

 

ビジネスの上でのコミュニケーションとは一体何でしょうか。

部下上司と仲良くすることができれば,コミュニケーションがとれているといえるのでしょうか。

 

普段あまり考えないことですが,よく考えると奥が深い言葉であるということに気が付きます。

気になった方は,サムライコンサル塾を受講してみてはいかがでしょうか。

自転車損害賠償責任等への加入義務化

弁護士の内堀昌樹です。

 

名古屋市では,10月1日から自転車損害賠償保険等のへの加入が義務化されます。

 

自転車でも漕ぎ方によってはかなりのスピードが出ますので,歩行者にとっては危険なものとなりえます。

実際,自転車と歩行者の衝突により,死亡事故がおき,加害者である自転車側に,数千万円の損害賠償責任を負った事例もあります。

自転車を使用する方でまだ保険に加入していない方も,これを機会に自転車事故に備えて,自転車損害賠償責任保険に入っておきましょう。

 

ちなみに,名古屋市内を自転車で通過する人も対象となりますので名古屋市外から名古屋市内に来る方も注意が必要です。

経営コンサルタント養成講座 サムライコンサル塾 第6回

第6回サムライコンサル塾では,ブランディングについて学びます。

ブランドといって,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

ロレックス?シャネル?ベンツ?いろいろ思い浮かぶものがあると思います。

これらのブランドには,共通点があります。

 

また,ごく最近できたブランドとして,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。

皆さんの思い浮かべたブランドには,ある共通点があることが講義の中で,浮き彫りにされていきます。

 

そして,その共通点を踏まえた上で,自分のブランド化ができないかを考えます。

一人ひとりが,自分のブランディングを意識して仕事をすることにより,より成長できるのではないでしょうか。

興味のある方は,サムライコンサル塾のHPを見ることをおすすめします。

http:/サムライコンサル塾.com

民法改正について

先日,民法改正をテーマに内部研修がありました。

民法改正案は平成29年5月26日に可決され,6月2日に公布,3年以内(平成32年)に施行されます。

今回の改正案では,債権の消滅時効の期間や法定利率が変わるなど,社会に大きな影響の出るものが多くありますので,注意が必要です。